アンソニー マクギルによるよびかけ #両ひざをついてひざまずこう

アンソニー マクギルによるよびかけ #両ひざをついてひざまずこう

=「ヒュッテ・はなこ」コメント=

白人警察官による黒人男性の拘束死を発端とした抗議デモが米国各地で続いている中、ニューヨーク・フィルハーモニック ウェブサイトのブログ記事に掲載された、主席クラリネット奏者 アンソニー マクギルによる呼びかけです。マクギル氏自身、ウィキペディアによると「主要オーケストラで主席奏者をつとめる数少ないアフリカ系アメリカ人の一人」とのことで、いわゆる有色人種という立場からの発信です。



<原文タイトル>

Anthony McGill’s Call To #TakeTwoKnees


*引用元の文章はマクギル氏のYouTube動画コメント欄にも掲載されています。

<原文掲載日>
2020年5月31日

ニューヨーク・フィルハーモニックは、人種間の摩擦によって現在起きている暴動に関して、我々の主席クラリネット奏者による感動的な提言と動画を全力で支援する。我々はこの記事を掲載する事で、ミネソタ州での事件とそれに付随する事態、およびこの国の歴史の一部として常に起きてきたことに対して憤りと悲しみを表す。我が国アメリカはより良い対応ができるはずだし、するべきだ、と我々自身にも再認識するべく、この記事を掲載する。我々は黙っているわけにはいかない。

#taketwoknees (両ひざをついてひざまずこう)  #blacklivesmatter (黒人の命は/も大切である)

<以下マクギル氏による呼びかけ>

この「常態」は新しいものではない。ただ、今、起きていることが目に入りやすいため、恐ろしいヘイトクライムの一部が、日々起こっていることではあるのだが、全国的なニュースになっている。現状で良しとする気持ちが蔓延しているし、特権の影に隠れることもまた間違っている。アメリカの「古き良き時代」にもハッシュタグの運動があったとしたら、「黒人の命は全く気にしない」というハッシュタグが存在しただろう。黒人の命に対して顔色一つ変えない人がほとんどだっただろう。

 

今年のはじめ、パンデミック前に、私はアラバマ州バーミングハムおよびオクラホマ州タルサで演奏した。これらの地域に厳しい歴史があることは明らかであるが、旅の中で、今まで国内で会った中でも最高級に良い人々と出会った。すべての人に対して尊敬と良識を持って接するということについて、我々はどのくらい成し遂げ、あとどのくらい不足しているのだろうか、と私は深く考えた。米国中で、我々はこの現実と共に生活している。しかし、今週の事件、そして私の人生における毎週の出来事で実証されるのは、美化された歴史では黒人の命は気にされていなかったということ、また今日でもさほど大切にされていないということである。

 

フットボール選手が黒人の謀殺に注目を集めようと抗議運動を起こしたときのことが思い出される。「スポーツに政治を持ち込むのはやめよう」「すべての命が大切なのだ」と人々は言った。そのような出来事のリストに今、アマード アーベリーとジョージ フロイドの名前が加えられた。二人ともこのような運命をたどるべきではなかった。

 

今回はスポーツを理由にすることもない。我々はほとんど家にいる。今こそが抗議をするときである。我々は #ALMBLM2 (すべての命が大切で黒人の命も同様に大切だ) 、あるいは  #HowAboutNow (今はどうか)と発信しよう。 もしくは、#ICareAboutBlackLives (私は黒人の命を大事に思う) という言葉をシェアするのが一番良いかもしれない。これはかなり率直な発言なので、もしこれが過激だと捉えられるようであれば、まさに問題を照らし出すこととなる。

 

さあ、一緒に呼びかけよう。これらのハッシュタグから一つ選んで、あるいは全部を、発信しよう。そして今、正義と良識を求めて両ひざをついてひざまずこう ( #TakeTwoKnees )。決まったやり方はない。あなたのメッセージ、声、使命、専門など。ただあなたが信じるものに対してひざまずこう。拡散しよう。今一度挑戦し、この不道徳に注目を集めよう。

<マクギル氏による動画>

www.youtube.com



コンサート業界がライブショーや音楽制作について再考するとき

COVID-19 アーティストからツアー マネージャーまで、コンサート業界がライブショーや音楽制作について再考するとき

 

=「ヒュッテ・はなこ」コメント=

米国ABCニュース オンライン記事より、5/14にドライブインの形で行われたライブコンサートをきっかけに、コロナ禍の影響下でのライブコンサートについて書かれた記事です。

<原文タイトル>

abcnews.go.com


<原文掲載日>
2020年5月17日2:33AM

そのショーは、カントリー音楽のスター、キース アーバンにとって、今までにない体験であった。

 

大きな会館やフットボール場に立ち並ぶ代わりに、このサプライズ公演の観客たちは、それぞれ6フィートの距離を保って駐車した車内から『We Were*』の歌手を鑑賞した。この公演の観客たちは全員ヘルスケア業務の従事者だった。
(*訳注:『We Were』はキース アーバンの代表曲のひとつ。)

 

「演奏していて、とても素晴らしい気分だった。」「人々は警笛を鳴らし、ヘッドライトをチカチカさせていた…本当に神秘的だった。」とアーバンは言った。

 

アーバンが演奏した木曜のサプライズ公演は、テネシー州ナッシュビルから東に40マイルほどに位置するスターダスト ドライブイン映画館で行われた。彼はパンデミックが始まって以降、観客の前で最初に演奏したアーティストの1人となった。

 

125台近くの車が駐車場を埋め尽くした。この公演は一般には告知されておらず、ヴァンダービルト大学医療センターのヴァンダービルト ヘルスに務める医師や看護師、救急救命士およびスタッフたちだけのための公演だった。

 

「我々はドライブイン公演のアイデアを一か月以上前から考えていた。」とアーバンは言う。「ドライブイン会場は、車の中の人々に向けて演奏するという意味でとても分かりやすい。皆との距離をとって安全な環境を保つことができる。会場はすでに出来ているのだ。」


「我々はどうやって安全に実現するか、考え始めた」とアーバンは続ける。「スタッフは最小限にできるだろう。ステージにのるミュージシャンも然り。単純に、すべてを非常に最小限度にしなければいけない。」

 

アーバンと彼のスタッフがコンサートをこの体制で開催しようと決めたことは、ライブ音楽業界が現状のパンデミックの渦中で足がかりを模索する中、大きな第一歩となった。

 

「ただ立ち止まって何もしないという選択肢は無かった。」とアーバンは言う。「どのように着実に、筋道をたてて前進するか。自分たちのためでなく観客のためにも。観客はそこにいて、観に来たいと思っている。ただ、安全ですべてが考え抜かれているということを感じたいとも思っている。」

 

コンサートやフェスティバルも全国的な自宅待機要請の影響を免れることはできなかった。音楽業界は、業界誌のポールスター誌によると、チケット収入で90億ドルの損失を見込んでいる。

大物の芸能人の中には、新たな適応方法を模索し、ファンとつながろうとしている。

 

ドジャ キャットの歌『Say So』はTikTokのダンス好きたちによってヒット曲第1位となった。アリアナ グランデやジャスティン ビーバー、ドレイクは外出自粛をテーマにした動画を作成した。有名なDJたちは自宅をナイトクラブかのようにしてダンス曲をライブ ストリーム配信した。

 

「アーティストたちが芸能人であることを自覚し続け、人々をまとめようとし続けていることは、1つ素晴らしいことです」とピッチフォーク誌のチーフ編集者プジャ ペーテルは言う。「カーディ・Bからディプロまで、皆がインスタライブを乗っ取り、トラヴィス スコットはフォートナイト内でコンサートをしました。」


「多くのミュージシャンがファンのために一丸となって、ファンが今彼らを必要としていることを知るのを見ることができるのは、とても素敵なことです。そしてミュージシャンもそのような逃げ道が必要なのです。」

 

ペーテルは、皆が自宅に籠っている今現在、ライブ ストリーミングはアーティストにとって重要だと言う。

 

「非常に多くの人々がエンターテイメントを求めてモバイル機器に注目しています。」「こうして私たちは乗り越えるでしょう。でも、ライブ音楽は観客と対面する形で戻ってくると信じています。今は、モバイル機器上のショーが、我たちを前進させてくれる方法なのだと思います。」

 

D・ナイスという芸名で活動するデリック ジョーンズは、『自宅隔離クラブ』という一連のライブストリーミングを何時間も続けて配信し、10,000人もの視聴者を獲得してインターネットを沸かせ、ヒーローと呼ばれた。そこにはミシェル オバマ、カーダシアン家、マーク ザッカーバーグもゲスト出演した。

 

「DJを始めた瞬間、エネルギーが全く違うと感じたんだ。本当のパーティーのような気分になった。」とジョーンズは言う。「そしてコメントを読み上げて、ああ、僕はエネルギーを生み出していたんだって言う。実際、みんなの言っていることからしても、確かに僕はエネルギーを感じたんだ。」

 

「その瞬間、これはずっといけるぞ、と感じた。」とジョーンズは続ける。「これが今できることは素晴らしいことだし、断然、続いていく。」

 

しかし、ツアーで大観衆の前で演奏することでキャリアを築いてきたアーティストにとって、これは通常どおりではないという。

 

パンデミック前には、数日おきに飛行機に乗っていた。至るところでコンサートをしていたからね。」とジョーンズは言う。「パンデミックが発生した途端、家でじっとしていなければならなくなった。正直に言って、どうしたら良いか分からなかった。今までほとんど居なかったから、自分の住居だっていうことすら忘れかけていたからね。」

これは音楽業界に従事する人々に共通する感情である。長期公演のマネージャーであるクリス グラトンは、パンデミックの中で忘れられつつある人々が業界には大勢いると言う。

 

パンデミックは、米国のライブ エンターテイメント業界だけで、まさに1,200万もの人々に影響を与えた。」とグラトンは言う。「ローディだけでなく、ケータリングスタッフ、ポップコーンを作る人、会場案内の人、駐車場警備の人たちも影響を受けている。」


こうした縁の下の力持ちたちこそが、最も影響を受けている、とグラトンは言う。

「僕らはスタジオに行き、アーティスト、ダンサー、振付師やデザイナーと一日中仕事をする。セットリストを通したり、すべてを進めるんだ。」

グラトンたちのチームは金曜にシアトルにてジャスティン ビーバーのツアー「Changes」をスタートする予定だったという。

 

「今日はプロダクション リハーサルの最終日の予定だったんだ。」「今日プロダクション ミーティングをしていないということは、僕らにとってなんだか悲しい気がするよ。でも、また僕らの出番が来るだろう。僕らは戻ってくるよ。」

 

グラトンは30年以上ローディーをしており、アリアナ グランデ、カニエ ウェスト、J・バルヴィンらと仕事をしてきたが、このようなことになったのは初めてだという。

 

「唯一、少しでも似た状況といえるのは9.11だろうか。」「みんな飛行機に乗るのを怖がっていたから、公演を数週間延期したりキャンセルしたりした。だけど数週間だけ、最大でも1か月だった。そして皆通常に戻った。あれは怖い経験ではあったが、今の状況に少しでも近いといえるのはあの時くらいだよ。」

 

グラトンは1年のうち10か月ほどをツアーの道中で過ごす。今、グラトンとチーム87人の従業員には仕事がない。グラトンはスタッフとその家族が食べていけるか心配をしている。

 

「僕らはそれほどの状況に直面するだろう。個人請負契約で働いている者は毎回の小切手を頼りに生活していることが多い。一番の稼ぎ年から一晩にして無収入になってしまった。」

 

グラトンは仕事に戻りたいと思っているが、物事が通常に戻るまでには長ければ2年かかるだろうと考えている。

 

「単にショーを行うだけの問題ではない。」とグラトンは言う。「駐車場をどうするか?整列をどうするか?搬入トラックから、沢山の重い機材をどのように積み下ろすか?6フィートの距離をとらなければならない、マスクをした状態で。。」

 

「僕はドラムの音が聴きたい。」とグラトンは続ける。「分かるだろ、音楽を感じたいんだ。ジャスティン ビーバーの楽屋のドアを開けて、『Baby』が始まった瞬間、女の子たちが熱狂する。これはコンピュータからは得られない体験だ。ライブ音楽より良いものはないし、実際、僕ら皆が分かりあえる唯一の言語なんだ。僕らはそれを取り戻さなければいけないし、もちろん、戻ってくるだろう。」

 

これは業界にとって、過去にない重大な後退要素となる。ペーテルは、今の時期が後々、「歴史上で音楽にとって重要な瞬間」の1つとして記憶されると考えている。

 

「この期間に出てくる音楽は、コロナウイルス音楽として永遠に記憶されるでしょう。」とペーテルは言う。

 

アーバンは、ステージに戻ることができて「特別な」気分だったとしながらも、ファンと直接会って挨拶をし、握手をできないことを寂しく思うという。

 

「なくて寂しいと思うことは沢山ある。」「観客との物理的な結びつきが欲しいんだ。観客と演奏し激しく踊れるようになるのはいつになるか分からない。沢山の車のヘッドライトは、激しく踊る客席とはかなり違う。」

 

「僕はステージ上で、すぐ下にいる観客から多くのエネルギーをもらい、そこには全員のエネルギーが含まれている。それが恋しいのだ。」

 

COVID-19期のコンサート

COVID-19期のコンサート
~これらの対策で本当に音楽ファンを待ち受けられるのか~

 

=「ヒュッテ・はなこ」コメント=

米国アーカンソー州にて、コロナ禍によるロックダウンが段階的に解除されている中で開催を予定しているライブについての記事です。

*この記事掲載後、5/18に日程を延期をして開催されたそうです。

<原文タイトル>

www.mercurynews.com


<原文掲載日>
2020年5月12日2:47PM 
(更新5月13日4:00AM)

 

アーカンソー州フォート スミスで開催予定の小さなコンサートが、知名度がさほど高くないアーティストによる、会場の8割が空席となるものだが、コロナウイルスパンデミック下で、世界中からの注目を集めている。

 

5月15日に開催されるそのコンサートは、カントリー ロックバンドのリーダー、トラヴィス マクレディーの演奏でスタートする。ただし、特に音楽業界に関わる多くの人々にとって、見どころとなるのは、この先駆的なソーシャル ディスタンスを取り入れたコンサートがどのように行われるか、ということである。その方法はCOVID-19期に国内全土で適用できるテンプレートとなり得るだろうか。

このショーは音楽ファンらが慣れ親しんできたものとはかなり異なるものとなる。主催者は適切なソーシャル ディスタンスを守るべく、厳しい規制を設けている。

まず、フォート スミスにあるテンプル ライブは最大で1,100人を収容できる会場だが、定員を8割減とする。わずか229人のファンのみが入場できるのだ。そして通例のように参加者が入り混じることは絶対禁止となる。ソーシャル ディスタンスをより確実に保つため、音楽愛好者らは、主催者が「ファンの群」と呼ぶ少人数のグループに分けられる。

下記が当該コンサート用にチケットマスターのウェブページに書かれている、安全予防策の一部である。

1. バルコニー席へのアクセスは階段のみとし、エレベータは使用不可とする。

2. 会場は、独立した第三者により、イベント前に噴霧器で消毒する。

3. ファンおよび従業員の双方にマスク着用を必須とする。

4. マスクを持参していない来場者は会場で購入できる。

5. CDCのガイドラインの通り、テンプルライブ従業員の監督のもと、劇場内は一方通行とする。

6. ファンの「群」(すなわちグループ)は、常時、互いから6フィート以上離れていなければならない。

7. 化粧室の人数制限は10人までとし、非接触型の石鹸およびタオルディスペンサーを使用する。適切なソーシャル ディスタンスを保つため、いくつかの化粧室備品は閉鎖する。

8. 入口にてファンの検温を行う。

9. 飲み物は、事前包装されたもの、または蓋つきのもののみ提供する。

10. テンプルライブのスタッフは「接触ポイント」をしっかりと拭く。

威圧感のある、長々とした根気のいるプロセスのように聞こえる。しかしこれが、パンデミックの状態が劇的に改善するまでの間、全米のファンを待ち受けるコンサート体験となる可能性がある。

 

そのため、人々はこのコンサートにとても注目しているのである。もちろん、無事に開催にこぎつければの話であるが。

アーカンソー州のアサ ハッチンソン州知事は、ABC社傘下のKATVによると、コンサートは「州の屋内施設再開のガイドラインに反するものであり、まだ承認されていない」と言っている。このコンサートは、ハッチンソン州知事が大規模の屋内施設再開の日と公表している5月18日の3日前に開催が予定されている。

 

今のところ、テンプルライブの職員は5月15日をコンサート開催日とすることを貫く予定だ、とKATVは報じている。