COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 4/4

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて
~トップクラスの有識者30名による~

 

=「ヒュッテ・はなこ」コメント=

コロナ禍が将来の生活やビジネスに与える影響について、米国の有識者へのインタビュー記事の和訳です。4回に分けて掲載予定の4回目です。

<原文タイトル>

www.fastcompany.com



<原文掲載日>
2020年4月20日

 

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 1/4 - ヒュッテ・はなこのブログ

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 2/4 - ヒュッテ・はなこのブログ

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 3/4 - ヒュッテ・はなこのブログ

 

輸送機関は回復し、進化する

 

マイケル マッサーマン (Lyft社 ポリシーおよびソーシャル インパクト 全世界責任者)

 

都市の再開に関心が向く中、人々は通勤通学の際にソーシャル ディスタンスを保てる、安価で信頼のできる方法を模索するだろう。カーシェアやバイクシェア、スクーターもその対象となる。また、地方自治体だけでなく主要な提唱者、出資者にとっても、車中心から人を中心とした都市へ、再形成を考える機会となるだろう。

 

アヴィ メイア (TravelPerk社 共同創立者およびCEO)

 

各国、各地域はそれぞれ異なるペースでロックダウンから明けることとなる。一つ一つ再開していく目的地を結ぶ、「移動の回廊地帯」が生まれるだろう。すでにアジア太平洋地域では、地域内のウイルスによる緊迫状態が軽減したことをうけ、控え目ながら、移動の回復の兆候が見られる。実際に移動が再開する際には、国内移動から始まるだろう。このことは、多くの国にとって、電車の利用から再開するということを意味する。電車はあまり混んでいないというのが主な理由だ*。

(*訳注: ここでの電車 ”train” は、都市間を結ぶ長距離列車を指しているかと思います。)


製造業は警鐘を鳴らされる

エド バーリボール (McKinsey社 製造およびサプライチェイン実地部門パートナー)

 

短期的には、企業は、必要物資の供給網上での不足を懸念する。代替の供給源を拠点の近くで見つけようとする企業もある。長期的に、現在の危機を切り抜けた際には、リスクを数値化し、起こりうる損失をビジネス ケースに盛り込むことを、企業および政府が、これまでに増して重要視すると期待したい。企業および政府は、多様な打撃に対して、その大きさや強さに応じてとるべき行動をモデル化するだろう。供給網を再建すると同時に、将来へ向けた耐性を築くための行動である。供給源を拠点の近くに持ってくること、またそのほかにも耐性強化への投資の余地がある。

 

アマール ハンスパル (Autodesk社 元CEO、Bright Machines社 現CEO)

今回のパンデミックは、物的生産物の製造方法に長期的な影響を与えるだろう。当社の顧客は供給網および世界中の工場との途絶の問題に対処している。このことは製造業者にとって警鐘となるものである。低コストの労働力を用いて地球の反対側の工場で製品を組み立てる、現在の集中管理システムによる方法は、単純に、不安定な急襲を切り抜けることができないのである。前進にあたり、ニアショアまたはオンショアの、完全に自動化された、ソフトウェア ベースの管理による、耐性のある製造業態が工場と供給網にとって必要であり、また企業も要求するだろう。


新しい考え方が従来のビジネスを変える


サラ スタイン グリーンバーグ (スタンフォード大学d.school エグゼクティブ ディレクター)

 

不確実性の高い時期には、状況の変化に応じて適応できることが、最も重要なスキルである。現状を乗り切ることに集中しつつ、これまでとは違った未来で繁栄できるように備える器用さが必要である。その為にやり手のリーダーたちは、厳しくストレスの多い状況下にも関わらず、皆が生成的になれる場所を企業内に創り、保っている。設計/ 構想の基本的な長所の一つである通り、アイデアを生み出すプロセスと、それを批判し選択するプロセスを分けることで、企業および個人が、より幅広い、可能性ある解決策を得ることができる。

ウィル ロペス (人事プラットフォーム Gusto社 会計士コミュニティ責任者)

 

COVID-19は煉瓦とモルタルでできた店舗、つまり実在の店舗の終わりではない。実店舗は我々の社会と経済にとって欠かせないものである。しかし、その営業方法は変化するだろう。今回の危機により、歴史的に主な収入源として客足に頼ってきた小企業は、次の重大事象に耐えられるよう、代替の収入源の開拓を強いられる。例えば、多くのレストランは永続的に宅配サービスのプラットフォームと連携し、またはゴースト レストランを通して地理的な範囲を広げるだろう。また、より多くのブティックが、近隣地域を越えた範囲に及ぶ、オンライン上に展開をするだろう。

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 3/4

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて
~トップクラスの有識者30名による~

 

=「ヒュッテ・はなこ」コメント=

コロナ禍が将来の生活やビジネスに与える影響について、米国の有識者へのインタビュー記事の和訳です。4回に分けて掲載予定の3回目です。

<原文タイトル>

www.fastcompany.com



<原文掲載日>
2020年4月20日

 

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 1/4 - ヒュッテ・はなこのブログ

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 2/4 - ヒュッテ・はなこのブログ

 

ヘルスケア業界は古くからある諸問題に直面する

クレア ノヴォロール博士 (Ada Health社 共同創立者およびチーフ医務員)

 

診察のサービスから遠隔治療まで、デジタル ヘルスケアツールの導入が急速に促進されている。世界中のヘルスケア組織がパンデミックへの対策の助けになるものとしてデジタル ソリューションに注目している。ヘルス テクノロジー企業は、この機会に手腕を発揮して保険支払い者の支援しようとし、保険提供者や患者も同様にテクノロジーに期待している。ヘルスケアに関するデジタル ソリューションが段階的に導入されていくことは確かで、この変化には長期的な将来性がある。ヘルスケア業界はコロナウイルスパンデミックに大きく影響をうけ、デジタル ヘルスケアテクノロジーは今後、業界内で不可欠な存在となっていくだろう。

パット コンブス (AWSヘルスケアおよびライフサイエンスサービス 全世界テクニカルリーダー)

 

医師たちが患者の完全な治療歴を把握する妨げとなる一番大きな問題は、システム間の相互運用性が不十分なことである。患者の受療の過程に沿ってデータと電子カルテを引き継ぐ際の妨げとなっているのだ。治療歴をまとめる作業は手動で行われ、時間がかかる作業である。しかし今、システムの根底にある問題を明らかにし修正する機会となる、重要な瞬間を迎えている。多くの研究者、医療システム、政府および企業が共に尽力し、データを持ち出しあって、COVID-19をより良く理解し戦おうとしているのだ。

 

ベス シーデンバーグ医学博士 (Westlake Village Biopartners社 創立業務執行パートナー)

 

事業継続のため、様々な地域の様々な事業者との、多様な外注契約が定着するだろう。万一(ヒトT細胞などの)供給網が崩壊する場合に備えて、ヒト組織および血液のサンプルが備蓄されるだろう。

 

アラ カッツ (Seed Health社 共同創立者および共同CEO)

 

偽情報がとりわけ蔓延している時、そして最近多くの場合がそうであるように、その情報が危険な内容の時、科学分野に従事する者たちが一丸となって、一般の人々に情報を伝え共有する際の基準を確認することが必須である。科学がいかに判断を周知し、方針をまとめ、そして生命を救うことができるか、COVID-19によって気付かされる。不確かな情報が広がっている現状への対策が、我々の将来にとって、ワクチンと同じくらい重要だろう。

 

ハリー リッター (ウェルネス専門家コミュニティ Alma創立者およびCEO)

 

メンタルヘルスに対する姿勢に関しては、非常に大きな変化が起こるだろう。社会が傷心と悲しみを共有したことで、ヘルスケア全体にとって不可欠なものとして、かつて無いほどにメンタルヘルスケアについて話すことへの理解と意欲が高まるだろう。すでに企業は、ストレス下での従業員の作業能力に、精神的な安定がいかに関係するかを実感している。結果として、従業員の福利厚生としてメンタルヘルスケアを優先することへの責任に、企業が気づくことが理想である。

 

ピーター チャップマン (量子コンピューティング会社 IonQ社 CEOおよび社長)

この先12~18か月のうちに、スーパーコンピューターおよびクラウドコンピューティングでは解決出来なかった問題を、量子コンピューターが日常的に解決するようになるだろう。人類が次にパンデミックに直面する時には量子コンピューターが、ウイルスとその人体内での相互作用をモデル化し、解決策を作動させるだろう、と期待している。そうすることで経済的ダメージや人々の苦しみを制限することができるだろう。

 

ベンチャー キャピタルは身をひそめる

 

デイビッド バレット (Expensify社 CEOおよび創立者)

 

COVID-19による危機は多くの企業の、不安定な弱点を急速にあぶりだしてきた。巨額の資金調達ラウンドや、高いバーンレートを条件とする戦略を拠り所とするテクノロジー企業が、特に大きく影響をうけている。テクノロジー企業は破綻の瀬戸際にいる。多くの企業では全面的な一時解雇に直面し、最終手段として買い手を探している企業もある。一方で、利益の出ている企業は倹約をしつつ、ほぼ通常どおりの経営を続けている。将来的には、投資家たちの「価値のある」企業についての考え方および条件が変わるだろう。投資家たちは、資金調達ラウンドや収益といった量的側面に注目する代わりに、企業の構成やチーム、文化、柔軟性、および採算性といった質的側面を、より重要視するようになるだろう。

 

ショーン パーク (ベンチャー プラットフォーム Anthemis社 CIOおよび共同創立者)

 

ファストマネーおよび”FOMO”による投資はCOVID-19によって突然停止された。ベンチャーキャピタル業界は低迷し、大勢に従う傾向には抵抗し、より堅固な適正評価と分析に再度関心が向けられている。テーゼ型の投資家は、1~2か月(あるいは3か月)の時間をかけてチームについて知り、ビジネスモデルや資本構成、市場について理解をした上で取引をまとめることができるだろう。

 


hutte-hanako.hateblo.jp

 

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 2/4

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて
~トップクラスの有識者30名による~

 

=「ヒュッテ・はなこ」コメント=

コロナ禍が将来の生活やビジネスに与える影響について、米国の有識者へのインタビュー記事の和訳です。4回に分けて掲載予定の2回目です。

<原文タイトル>

www.fastcompany.com



<原文掲載日>
2020年4月20日

 

COVID-19が恒久的にもたらす変化のすべて 1/4 - ヒュッテ・はなこのブログ

 

デジタル マイグレーションが加速する

 

スタン チャドノフスキー (Facebook社Messenger VP)

 

愛する人と充実した時間を過ごすため、また、仕事に従事し作業するため、人々がテクノロジーを使用する方法は新常態へと根本的に変わりつつある、ということが日に日に明らかになっている。何年も想い続けていた人と、今や毎日会うことができる。人々はMessengerなどをクリエイティブに利用して、仮想のハッピーアワーを開催し、トレーニング動画を利用して以前からの「身体生活」を続け、仮想の誕生日パーティーを行っている。もちろん別の側面からみれば厳しい影響もあるだろうが、私は、つながりを実感するためにテクノロジーが導入される傾向は、永続的な効果があると信じている。

 

マイケル ヘンドリックス (Ideo社 共同経営者およびグローバル デザイン ディレクター)

 

デジタル化はすでに起きていたが、まさに今、ウイルスによって加速されているように感じる。変化に対する抵抗が急に消失したことに驚いている。組織が長年抵抗してきた物そのものが今、生存と刷新の核心となっている。デジタルに関する考え方は持続し、企業がパンデミック前の原状に戻る可能性は非常に低い、と考えるとすごいことである。

 

タイラー ウィンクルボス、キャメロン ウィンクルボス (仮想通貨取引所 Gemini社 CEO、社長)

 

パンデミックにより、政府が前例の全く無い方法で経済に介入してきた。紙幣増刷と債務累積の「悪魔の取引」は、人々に不換紙幣の制度全体の見直しをせまるだろう。いずれ人々は、自分の所有するドルの価値を疑い、債務決算の日を迎える際にどうなってしまうのか、という疑問を抱くようになるだろう。

 

アレックス ファー (音声技術会社 Zammo社 創立者およびCEO)

 

ビデオ会議は、このパンデミック下において、単に生活での一部として一般化するにとどまらない。テクノロジー機器を通してビデオ会議を起動する方法は増大する。職場や家で我々は、顧客や上司、母親、友人を呼ぶよう音声アシスタントに指示する。それをうけてAlexaや Google Assistant 、Siri などが、我々を生のビデオ会話へと導くのだ。

 

ウィル キャスカート (WhatsApp社 代表)

 

人々が物理的に隔離されている状況下において、WhatsApp上でかつてなく多くのビデオ電話が行われている。ここでの会話は対面での会話と同様に、個人的で内密なものであり、他の人に見られたくないものである。犯罪者やハッカーはもちろん、会社にも見られるべきでない。互いから離れて過ごすという共通の経験により、我々は、E2E暗号化によるプライバシーとセキュリティを以前より尊重するようになるだろう。

 

教育が仮想空間で行われるようになる

サイモン アレン (McGraw-Hill社 CEO)

 

今教育の現場で起こっている変化は、秋に「通常」に戻るものでは無さそうである。教育のプロセスにおいて、教師は常に必要ではあるが、コンテンツの配信やテスト、評価の方法については引き続き柔軟性と機敏性が求められる。実際の教室での学習とオンラインでの学習を取り交ぜた教育環境が増えていくだろうと予期される。

 

アダム エンバー (Flatiron School社 CEO)


教育者たちは今のところ、ZoomとSlackを頼りに生徒と関わり指導している。教室での体験をそのまま再現するには事足りないと気付きつつあるが、もともと、教室での授業そのままの代替を目的としているわけではない。実際、どんな教育用の技術ツールやプラットフォームも、実際の教室を再現できないし、また、再現するべきでもない。テクノロジーに求められる役割は、完全に新しい体験を創り出すことである。困難に直面している時こそ技術革新が促進される。物ごとが平時に戻ればZoomやSlackの使用は減るだろうが、それはそれで良い。その代わり、全く新しい体験を創りだそうとする企業家たちによる、リモート環境での教育や作業に特化した技術が、急発展するだろう。

 

サル カーン (非営利教育団体 Khan Academy CEO)

 

各家庭でのオンラインアクセスと機器の必要性が差し迫っており、インターネット接続はついに「あった方が良いもの」から「なくてはならないもの」とみなされるようになるだろう。すでに政府が、学区が、慈善家が、企業が情報格差をなくそうと力を入れている。この動向が続けば、ほぼすべての家庭でオンラインアクセスが可能、という状態を実現できるだろう。


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